ユディト
日本橋でクリムトのアートイベントがやっているとのことで夏休みの平日に行ってみようと画策していた今日この頃。
クリムトといえば「接吻」、「ダナエ」、「ユディト」などが有名です。
ユディトというのは旧約聖書のユディト記に出てくるユダヤ人女性です。彼はアリッシアの将軍ホロフェルネスを誘惑して寝首を文字通り掻っ捌きます。
そのシーンを描いた名画が二つ。
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョの描いた「ホロフェルネスの首を斬るユディト」とアルテミジア・ジェンティレスキの描い「ホロフェルネスの首を斬るユディト」です。
アルテミジア・ジェンティレスキは有史に残る初の女流画家で父はカラヴァッジョ派でした。彼女には紆余曲折ありますが、ここでは割愛。
カラヴァッジョの20年後くらいにアルテミジアの絵が描かれています。先にアルテミジアの絵を見てしまうと構図の進化からカラヴァッジョの絵が教科書向けの紙芝居に見えてしまいます。
アルテミジアは構図の完成度からモデルの感情やリアリティを伝えられることを示します。
もちろん、そこには発注主という背景もあってカラヴァッジョの絵は教会に頼まれて描いたものであることは補足しておきます。
16世紀中盤からは主だった絵画の発注が宮廷や教会から市井の人々へと身近になっていきます。オランダを代表する画家のレンブラントの夜警なぞみんなでお金出し合って寄り合いのメンバー描いてもらおうぜー!という絵です。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E8%AD%A6_(%E7%B5%B5%E7%94%BB)
その後写真が生まれ絵画は馬車から自動車に切り替わるのと同じように記録用途のメインストリームから外れていきます。画家の意思がなければ書き加えられなかった色々な要素が写真により機械的に記録されます。これにより絵画の存在意義を模索する時代です。
アルテミジアの絵から300年後クリムトは同じモチーフに殺害後のリアリティを持たせつつキャンバスが全くの別世界を切り取ったかのような金の装飾を加え耽美的な世界を表現してゆきます。彼曰くアートに於いて自由であり、それを現実に映し出せるのがクリムトです。
https://artsandculture.google.com/story/8AUh6xMfShQ9Lg?hl=ja
絵の存在意義の一つの解がクリムトだったりミュシャだったりするわけで一つの転換点になります。
さて、見に行こうか。
すいません。クリムト談話結構続きます。