2024/12/15 00:28
図書館。佐渡ヶ島には早稲田大学から贈られた能楽や浄瑠璃、歌舞伎をはじめ演劇研究に役立つ蔵書2万冊を収蔵する「鳥越文庫」という図書館がある。といっても、山奥にあり最も狭い場所なら道幅200ミリの崖路のワインディングを登っていった先にある。峠道のため雪の季節はめっきり人足が途絶えるようだが、コンディションを見ながらアウトバック で進めばそう怖いことはない。「猿八」という山奥の集落は限界集落であるも、わざわざここに住みつき、古浄瑠璃を受け継いだNさんという方がいる。早稲田大学の鳥越文蔵教授の教え子であり、彼がこんな山奥を拠点に海外にも羽ばたいてゆく活動を展開し始めたため、それを応援しようと演劇研究で活用してきた資料たちを、その青年と佐渡の文化発展のために贈ったという2万冊なのだ。佐渡は芸能の島と呼ばれ、本土で廃れてしまった芸能のかたちが残っており、佐渡の人形芝居などは国の重要無形民俗文化財に指定されている。しかし日本芸能史の俯瞰した視線の中で、佐渡と中央とはどういう関係にあるのか島民が考える上で大変貴重であるし、プレイヤーの皆さんも実際この蔵書類を活用しながら研鑽に励んでいる。
管理人の、文弥人形の太夫がいらっしゃり、司書として私が望む本についてあちこち案内してくださった。するとこの図書館の構成がわかり、次に何を読もう、その次はあれに目を通そうと道筋がみえた。佐渡にいて佐渡芸能を知りたいと思うとき、この図書館と2万冊の蔵書の存在はとてつもなくでかい。島の宝そのものだ。近くまたゆこうと思う。