スバリストは車好きが多いので、製品設計者も多いと思い、設計者に参考にして頂きたいという趣旨で記載します。
以下書籍は宣伝しても、ほとんど売れません。学術書は3000冊売れれば成功だそうです。だから金儲けの宣伝ではありません。
本に書いてある事ですので、業務上知り得た機密情報でも無いです。
書籍「FMEA辞書」は設計ミスを無くす手法と実施方法が書いてあります。リコールを十年以上0件とし、品質最悪事業部を最良事業部に変えました。知恵と工夫による成果です。
Ⅰ. 何をやったかの説明
1. 未然防止の道具作成と実行
①.製造業各社の実情
製品設計の故障パターンは、世の中に知られている故障原因を含めると、五万とあります。
その為に、世の中の各社はノウハウや不具合事例を溜めています。しかし、溜めているだけで、使いやすく整理されてないので、誰も使わず、宝の持ち腐れとなっているのが実情です。
②. 使いやすい道具の作成
そこで、社内に眠っている故障事例や、世の中に知られている故障パターンを全て集めて、使いやすいように整理した「FMEA辞書」という道具を作ったのです。
創立75周年の会社ですので、ありとあらゆる故障パターンが眠っています。
集め方は後述。
ただ溜めてあるだけだと、全部見ないとチェックできません。
使いやすいというのは、必要なところだけチェック出来るチェックリストです。どう使いやすくしたかは本を参照。
③. 実施方法
400名の設計者に実施してもらうには、部長、事業部長を動かして、リコールを出さないよう、チェック実施を指示してもらう事が必要です。親しい部長、事業部長がいた事が幸いしました。技術部の実行しやすいルールにする手もあります。
④. 全ての故障事例の集め方
私の専門はメカですので、電子回路、ソフトウェアは、詳しくありません。
部、事業部の壁を超えた協力が必要になります。
◆そのためには、社内で有名になる事が必要です。
a.技術論文で発表、オールトヨタのQC大会で優秀賞を受賞して、有名になり、特に全社の品質を扱う品質管理部の人の協力を得る事が出来た。
b.FMEA辞書は初めメカしか無かった段階で有名になり、電子関係、ソフトウェアは、昔一緒に仕事した電子事業部の役員と親しかったので、協力してもらえました。
2. ソフト面の改善
品質問題の未然防止には、チェックリストというハード面だけでなく、人材育成やしくみの改善といったソフト面の改善も必要です。
◆ソフト面の改善の事例
a.会議のやり方を改善しておけば、この問題は起きなかった
b.人間、教育してもすぐ忘れるので、そう言えば何かあったなという時、直ぐに確認できる環境(FMEA辞書のような物)を作る。
FMEA辞書はその後、品質管理部が全社展開しました。
Ⅱ. 他社が真似しない理由
トヨタ自動車をはじめ20社以上で講演、セミナー講師として何十回と説明しましたが、真似して出来た企業は一社もありません。
言い訳を聞いてみると、部長、事業部長が動かない。道具を作る人工がない。知識が無い。情報が集まらないでした。
やる気のある人が居ないためだと思われます。