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SINANO470
2026/06/04 17:58

レイバック ストロングハイブリッドとは何者か?―VN型の全体像から見る次期型への布石

本日、スバルはVN型レヴォーグ及びレイバックのマイナーチェンジを発表し、併せてレイバックへのストロングハイブリッド(S:HEV)投入を予告した。
以下は公式リリース。
〇SUBARU レヴォーグの一部改良モデルを発表
https://www.subaru.co.jp/news/2026_06_04_143345/
〇SUBARU レヴォーグ レイバックの一部改良モデルを発表
https://www.subaru.co.jp/news/2026_06_04_143024/
〇レイバック ストロングハイブリッド ティザーサイト
https://www.subaru.jp/levorg-layback-wagon/

本記事では、これらの公式リリース及び現在のVN型レヴォーグおよびレイバックから見るレイバックへのストロングハイブリッド投入の意図を考察する。

1.VN型変遷
レヴォーグとは、レガシィツーリングワゴンが大型化してしまったことから、日本向けワゴンとして新たにスポーツワゴンとして作り直して、25年目のフルモデルチェンジと称して発表されたものである。この25年とは、レガシィから数えたものであり、レヴォーグ(LEVORG)の名前もレガシィ・エボリューション・ツーリングの略であることから、レガシィの後継を意図したことは明白であった。
初代レヴォーグVM型は、その手ごろなサイズと当時最新型のEyeSight(Ver3)から、非常に好調な販売を記録した。
2020年、レヴォーグは2代目となるVN型となる。EyeSightは新世代型(正味Ver4と呼べるもの)に進化し、GT型インプレッサ・XVで初登場したSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)はフルインナーフレーム化された第二世代へと進化した。
2023年、レヴォーグの改良モデルとともに、レヴォーグレイバック(以下レイバックと略称する)が発売された。レヴォーグと比較して、全長が15mm、全幅が25mm、全高が70mmそれぞれ拡大されており、最低地上高はレヴォーグの1.8L車よりも55mm高い200mmに設定。フロントマスクも変更された。しかし、形式はレヴォーグの1.8L車と同じVN型であり、インプレッサとクロストレック(XV)の関係に近いものであった。X-MODEもなく、シティユースやロングツーリング志向のSUVであり、わかりやすく例えるならば、トヨタのハリアーに対抗するための車種といえる。
VNレヴォーグは、2.4Lターボと1.8Lターボ、レイバックは1.8Lターボのみの設定であった。それがここにきて、レイバックに2.5LストロングハイブリッドであるS:HEVが投入されることになった。

2.レイバック・ストロングハイブリッド(仮称)とは何か?
S:HEV仕様をレイバック・ストロングハイブリッドと仮称する。
ティザーサイトによると、フロントマスクを変更し、車高と最低地上高を20㎜落としている。
1.8Lターボ仕様のレイバックをSUVと呼び、S:HEV仕様のレイバックをワゴンと呼んで分けている。
いわば、レイバック派生の車種のような書き方をしている。
これはすなわち、S:HEV仕様を単純なグレードの追加として扱っていないということである。
さらに、SUVと呼んでいる1.8Lターボ仕様のレイバックにはX-MODE(悪路走破性を高めるモード)はついていないが、S:HEV仕様にはついている。ティザーサイト(https://www.subaru.jp/levorg-layback-wagon/)のPoint 03「Performance」セクションにに記載あり。
SUVとワゴンの呼び分け、これが何を意味するのかを考察する。

3.スバルのモデルチェンジスケジュール
本考察を進めるには、まずはスバルのモデルチェンジスケジュールを語らなくてはならない。
車種によって例外はあるが、一般的にスバルでは6年を一つのモデルサイクルにしている。
1年ごとに年次改良を行い、4年目(D型)でビッグマイナーチェンジを行い、F型で終了。たまに少し延命されるものもあるが、一般的にこのスケジュール感で動いている。
今回のレヴォーグとレイバックの年次改良はF型に相当するものであり、モデル末期といえる。大きな改良はなく、むしろ騒音規制などでFA24ターボが廃止され、1.8Lに一本化されている。細部の法規対応などの改良のみとなっており、本質的には変わっていない。
そんな中で、レイバックにのみS:HEVが投入された。これは極めて異例といえる。
ただ、レイバックのみに着目してみると、今回は4年目。いわばビッグマイナーチェンジのタイミングともいえる。

4.S:HEVのキャラクター性
S:HEVとは、スバルが開発したストロングハイブリッドシステムであるが、その根本的な駆動原理は、トヨタのTHSをベースにした遊星歯車による動力分割機構である。これを縦置き+水平対向エンジンに適応させ、かつスバル独自のプロペラシャフトによる後輪への動力伝達を含めたAWD機構と組み合わせている。
このS:HEVは、クロストレックから始まり、フォレスターへと展開されて、今回レイバックが3車種目の投入となった。
ガソリン価格の高騰もあり、レヴォーグにもストロングハイブリッドの需要があるのだが、今回は見送られ、レイバックにのみ投入された。なぜか?
それは、キャラクター性の違いが大きな原因であろう。今まで投入されてきた車種はすべてSUVであり、レヴォーグというスポーツツアラーとはキャラクター性を異とする。
SUVというどんな道でも走れるといったキャラクター性と、スポーツツアラーという高速道路を快適に高速で走り抜けるというキャラクター性は大きく異なる。それは、ギア比や制御系がまるで異なるということである。
動力分割機構によるストロングハイブリッドは、モーター出力とエンジン出力を無段階かつ自由に分配できる。*厳密な制御とは別に概念的な意味である。
ならば、スポーツ性にもトルクにも振ることはできる。機構そのものは流用できる。しかし、それを実現する制御アルゴリズムやギア比はまるで違う。
クロストレックからフォレスターへの展開は、車格こそ違えどキャラクター性の方向は同じであり、ほぼそのままといったら言い過ぎであるが、流用は容易であっただろう。
しかし、そこからレヴォーグとなると話は違う。流用には多くのコストと時間がかかるはずである。
ではレイバックなら?
X-MODEを持たないとはいえ、レイバックもSUVであり、まだ流用のしようはあるであろう。
それがレヴォーグではなくレイバックへのS:HEV投入の理由と考えられる。
気になるのは、SUVにはX-MODEがなく、ワゴンのほうにX-MODEがあることである。
AWDシステムはミッションに依存しており、現在のS:HEVの仕様的にはX-MODEが必然つけなくてはならないということかもしれない。
もしくは、最低地上高が200mm→180mmに落ちているので、物理的に悪路性能が後退した分、X-MODEという安心感を演出する意図があるのかもしれない。

5.SUVとワゴンの呼び分け、次期レヴォーグへの布石
同じレイバックなのに、1.8Lターボ仕様はSUVと呼び、S:HEV仕様はワゴンと呼ぶ。
S:HEV仕様は全体に20mm車高を落としている。
私はこれを、次期レヴォーグへの布石と考える。
特許取得状況やニュースリリースを見ると、スバルはAI仕様のEyeSightの開発を進めている。
レヴォーグは、常に最新技術を投入されてきた車だった。EyeSightVer3やツーリングアシスト、新世代EyeSight(Ver4)とEyeSightX。これらはレヴォーグから投入されてきた。
素直に考えれば、次世代型EyeSightは次期レヴォーグ(VO型・仮称)から投入されると考えられる。
昨今のガソリン代高騰やCAFE規制対応もあるので、レヴォーグのハイブリッド化も必須であろう。
レイバック・ストロングハイブリッドとは、この橋渡しと時間稼ぎではないかと考える。
スバルは現在、EVの開発を推し進めており、アライアンスモデル4車種をそろえた。これに加えて、自社開発EVの開発も進めていたが、昨今のEV市場の動きから、5月15日、2028年末までに投入予定だった自社開発EVの発売時期を延期する方針を明らかにした。EV開発に充てる予定だった投資の一部も、ハイブリッド車を含む内燃機関搭載車の開発に振り向けるとのことである。
EV開発とHEVやICEの開発が重なっており、スバルは人手の余裕がない状態であったと想像できる。
これは考察と想像の範疇であるが、次期レヴォーグの開発の遅れが生じているのではないだろうか?
EV開発の後ろ倒しで余裕ができた。その余裕を使って、次のスタンダードとなる次世代EyeSightやスポーツツアラー版のS:HEVの開発の推進を行う。そのための時間稼ぎの一手ではないかと考えられるのである。

すなわち、VNレヴォーグはもう1年延長し、場合によってはG型まで出す。
FA24はパワーを落として出すとの話もあるが、基本的には1.8Lターボのままで進める。
しかし、そのままではモデル末期ということもあって販売は低迷する。


そこで、求められるハイブリッド化需要をレイバック・ストロングハイブリッドで賄う。
レヴォーグの需要を一部担うためには、レイバック・ストロングハイブリッドはSUVではなくワゴンにしなければならない。レヴォーグはスポーツツアラー、レガシィツーリングワゴンの後継車だからだ。

レヴォーグはスポーツツアラーとしてのブランドを死守しなければならない。ストロングハイブリッドを入れるのはVO型でしっかり作りこんでから。

レイバックなら機構的にもS:HEVの流用が比較的低コストで可能。
しかし、SUVのままではレヴォーグのハイブリッド需要を取り込めない。だからワゴンとして売るために車高を落としたセッティングにしてワゴンとして名乗る。

これにより、VN型全体としての販売台数を支えつつ、CAFE規制に対応する燃費の下支えも達成する。
開発遅延か本当のところはわからないが、VNを延命して使う必要が出てきたので、このような策に出たのだと考える。
また、SUVではないS:HEVは初であり、その市場需要調査の意味もあるのだろう。
1550mmという車高は、都市部の立体駐車場の高さ制限としてよく言われるものであり、これに対応することでこれまでレイバックを買いたくても買えなかった層への訴求効果もあるだろう。

これがレイバック・ストロングハイブリッドに対する私の考察である。

追記
レイバック・ストロングハイブリッドのWLTC燃費は19.0km/L。
これは、クロストレックのS:HEVの燃費である18.9km/Lを越えている。
車重は重くなっているはずなのに伸びている。ワゴン形状でハッチバックのクロストレックよりも空力的に有利かもしれないが、もしかしたら私の以前の考察・実験記事にあるように、除電ルーフトリムを搭載している可能性があるのではないだろうか?
〇最大の帯電体への対応―スバル技報を基に、ルーフトリム除電を試す
https://community.subaru.jp/announcements/jrqywvlrcjltsrhx
スバル技報によると、トレイルシーカーにおいてスバルは除電ルーフトリムを投入し、サスペンションセッティングと合わせて直進性向上を果たしている。これは燃費にも効くはずである。
正式発表後の正解を楽しみにしている。

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