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SINANO470
2026/09/27 14:50

アウトバックのニッチはどこへ行ったのか―レイバックS:HEVとトレイルシーカーが示す二つのアプローチ

 最近のスバルを見ていると、レガシィシリーズが姿を消し、代わりに新しい車種がフラッグシップ的な位置を占めつつある。その中で登場したレイバックS:HEVとトレイルシーカー。よく見てみると、この二車種はアウトバックが長年築いてきたニッチを、まったく違うアプローチで電動化時代に引き継ごうとしているように思えた。よって、今回はそのあたりを整理したいと思う。


1.アウトバックとは

画像はBS型アウトバック

 アウトバックとは、レガシィシリーズにおけるセダン・ワゴン・クロスオーバーSUVのうち、クロスオーバーSUVを担当するモデルである。世代によってその出自はやや異なるが、BP型まではツーリングワゴン派生でリフトアップしてSUVとしての走破性を持たせている。ツーリングワゴンが廃止されたBS型以降は、SUVとしての性格を強めていく。
 さてこのアウトバックは、世界的に見ても独自のニッチを築き上げてきた車である。ニッチとは、特定の需要に特化した、ちょうどいい立ち位置や専門的な市場を意味し、生物学でも同じような意味で使われる。アウトバックの築いてきたニッチとは、以下のように説明できるであろう。
「都会でも使えるけど、ちょっとした冒険もできる万能車」
 本格的なクロスカントリーSUVほど乗り心地が硬くなくゴツくない。
 ワゴン譲りの荷室でたくさん積める。
 オンロードでも快適な乗り心地がありつつ、悪路走破性もある。
 いわば、ワゴンとSUVの中間。のちの他社も参入してきているが、スバルが最初に築き、そして購入しやすい現実的な価格で販売してきているので、一つのニッチとして成立してきた歴史がある。

 ツーリングワゴン廃止後のBS型以降はSUVとしての側面を強めていくが、基本骨格としてのニッチはこのように分析できる。

2.アウトバックのニッチの後継
 現在、アウトバックどころかレガシィそのものが日本では廃止され、アメリカでBU型として残るのみ。このBU型はセダンが廃止されたこともあってより車高を上げて四角いボクシーなデザインとなっている。すなわち、よりSUVとしての側面が強まっているといえる。
 日本では販売されていないBU型アウトバックに代わり、従来のアウトバックのニッチは、異なるアプローチで電動化時代に適応して引き継がれている。それがレイバックS:HEVとトレイルシーカーである。

≪レイバックS:HEV≫

ホームページより引用

​ VN型レヴォーグから派生したレイバック(登場当初のもの)。それはスバルSUVに特徴的な悪路走破モードであるX-MODEを持たず、土の香りのしないSUVとして作られたオンロードSUVであり、わかりやすく言えばハリアーの築いた都市型SUVのニッチに殴り込んだ車である。そのうえで、おそらく技術的要因からレヴォーグのスポーツツアラーに最適化するのに時間がかかる現在のS:HEVシステムを同じSUVであるレイバックに入れて電動化し、車高を落としてワゴンと呼称している、いわば偽装レヴォーグS:HEVであるのがレイバックS:HEVである。こちらは最低地上高が180mmまで落とされているが、トランスアクスルとセットになっているためか、X-MODEが付いている。

 最低地上高がスバルSUVとしては低めであるが、X-MODEをもち一定の悪路走破性を持ちつつ、オンロードでの高い乗り心地や高い燃費性能を持つ、アウトバックのニッチに対してワゴンの側面から電動化アプローチをしていると解釈できる。
「都会・日常・上質寄りに特化したハイブリッドによるアプローチ」といえるであろう。

≪トレイルシーカー≫

ホームページより引用

​ 大幅改良が施されたD型ソルテラをベースに、Cピラー以降であるリアオーバーハングを155mm延長して荷室を拡大し、リアモーターを88kwから167kwに大型化したアライアンスBEVである。都会寄りのソルテラに比べてよりアウトドア方面に移し、デザインもよりラギットな方向にしている。

 アウトバックの持つ広大な荷室と悪路走破性や長距離性能をBEVとしてアプローチしている。実際、欧州では「E-Outback」の名で売られており、サイズもBS型とBT型の中間であり、精神的後継モデルである。
「アウトドア・積載性を重視したBEVによるアプローチ」といえるであろう。



 これら二車種は、サイズも違えば動力方式も異なる。しかし、その目指したものを読み解くと、アウトバックが築いてきたものに対する異なるアプローチを見ることができる。かつて一台のクルマが「都会も冒険もこなす万能さ」として一手に担っていた役割は、電動化時代においては、複数の車種に機能を分けて引き継がれていく。レイバックS:HEVが上質さと日常性を、トレイルシーカーがアウトドア性と積載力を担うように。ニッチは車種の統合によってではなく、分割によって存続していくのかもしれない。

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