これまでのパートでその正体と開発経緯について深堀してきた。
〇レイバック ストロングハイブリッドとは何者か?―VN型の全体像から見る次期型への布石
https://community.subaru.jp/announcements/pxfnbosyhihwk05i
〇レイバック ストロングハイブリッドとは何者か?パート2―公式発表情報から読み解くその正体
https://community.subaru.jp/announcements/fhgpulstjtu3cab7
〇レイバック ストロングハイブリッドとは何者か?パート3-なぜVN型にストロングハイブリッドを投入しなければならなかったのか?
https://community.subaru.jp/announcements/pebpyuqliwq2rhgm
〇レイバック ストロングハイブリッドとは何者か? パート3.1 ― CAFE規制の本質を読み解く
https://community.subaru.jp/announcements/qhpgwboubphn7jb2
さて、これまでの考察をまとめてみたい。
当初気づいた疑問は以下の通りだった。
1.レイバックと名前がついているのに、従来仕様をSUV、S:HEV仕様をWAGONとしてグレード違いではなく商品ページも分けて別車種のように紹介している。
2.S:HEV仕様の方では、車高を落としているのに従来仕様になかったX-MODEがついている。
3.そもそも投入時期が従来のサイクルで言えばモデル末期である。
これに対する背景事情を含めた仮説が以下の通りである。
自社EVの延期により、CAFE規制達成をBEVで牽引する計画が崩れた。その結果、ICE/HEV側の燃費底上げが急務となり、国内販売の主要3系統のうち唯一手つかずだったVN型系列(達成率60.1%)に、緊急にハイブリッドを投入する必要が生じた。しかし現行S:HEVはSUVに最適化されていると考察されるシステムでありレヴォーグに流用するためには最適化が必要で時間がかかる。そのため、SUVとして派生していたため、キャラクター的に流用しやすいレイバックを経由させ、かつレヴォーグ需要を取り込むために車高を落として「ワゴン」と呼称し、偽装レヴォーグS:HEVとして機能させた。おそらくだが、今のS:HEVがSUVに最適化されているため、X-MODEもセットで組まれていると考察され、これをそのまま持ってきたからワゴンなのにX-MODEがつくことになっていると思われる。
わかりやすく言えば、VN系のボディにGU系(クロストレック)のフロントセクションを持ってきてS:HEVを投入したものである。これは、JMSで公開されたPerformance-Bと逆コースの開発である。
本来的にはレヴォーグにハイブリッドを投入すべきであるが、最適化に時間がかかることと自社モデルEVの投入後ろ倒しでCAFE規制対策が待ったなしになったために作られたのがレイバックS:HEVなのであろう。
これが正体の考察だったわけだが、これを別方向の視点から見ると面白いことが分かる。
≪血統・存在意義の視点≫
パート2でも記載しているが、V系(WRX/レヴォーグ)とは、インプレッサ(G系)とレガシィ(B系)のセダンとワゴンにあったスポーツグレードを抽出して、量販的な穏やかさやNAを意図的に切り離して、純粋なスポーツグレードに特化した系統として作られた系統である。ゆえに、これまでVA/VM以降のWRXとレヴォーグにはAWD&ターボのグレードしか存在してこなかった。*例外的に欧州仕様にはNAのVM系が存在した。整理すると、V系=インプレッサとレガシィに分散して存在していたスポーツ性を、セダンとワゴンという二つの形に整理して成立したSUBARUのスポーツ系商品群となる。
ここでPerformance-Bを見てみると、先祖返りが起きていることが分かる。

Performance-Bの仕様は、クロストレックのボディにレイバックのフロントセクションを合体させ、FA24ターボと6MT(おそらくDCCD付のTY85)を投入したコンセプトカーである(私は直接見ていないので、公式情報やメディア記事による)。やってることがまさにレイバックS:HEVと逆なわけだが、こちらはあまり違和感はない。なぜなら、ハッチバック+ターボはGRBという前例があるからである。V系として独立する前に前例があったわけである。だから先祖帰りと認識され、違和感が少ない。G系にスポーツグレードが含まれていた時期があったからである。
レイバックS:HEVを見ると、これが逆になる。スポーツ特化だったはずのV系にSUV由来のシステムを組み込んでいる。レヴォーグに最適化されたスポーツS:HEVとして開発して投入されたのなら違和感はなかっただろう。レイバックS:HEVとは、レイバックのボディにクロストレックのフロントセクションを持ってきた車である。ボディだけVNで、中身がG系やS系(フォレスター)と同じ。これは今までになかった組み合わせになる。V系が自らを定義するために捨て去ったはずのものが戻ってきている。すなわち、V系としてのスポーツ性を持った電動化ではないということだ。単にハイブリッド化したわけではないということが重要になる。
≪外観・視覚的な視点≫
これもPerformance-Bとの比較になる。Performance-Bは、もともとスポーツ要素を持っていたG系にV系の顔と中身を持ってきた。ボディがクロストレックで顔がレイバックなのに違和感が少ないのは、先祖帰りでしかなく、前例としてハッチバックスポーツのGRBという前例があった。
レイバックS:HEVの場合は、ボディがVN系なのに、顔はGU型をベースにレイバックに似せたものになっている。ヘッドライトはクロストレックと同じだし、フォグランプはSL型フォレスターと同じだ。すなわち、パッと見たときにクロストレック(インプレッサ)なのか、レイバック(レヴォーグ)なのかわからない。

同じニコイチ開発なのに、非対称な感想が生まれるわけである。
Performance-Bは、G系にV系の要素が戻ってきたといえる。
レイバックS:HEVは、V系というG系やB系からスポーツ要素を抽出した形式に、G系の要素が入ってきている。元が派生だったから、戻るというよりもさらなるニコイチになる。単なるV系のハイブリッド化とは少し違うということである。
これを新鮮とみるか、違和感や腑に落ちなさととらえるかは人によるであろうが、視点を変えるといろいろなものが見えてくるものである。